冬になると決まって手が荒れてつらい、ひび割れに悩まされる……。そんな人は、手荒れのメカニズムを知って、生活習慣を見直しましょう。こまめにハンドクリームを塗ることが大事です。

・老いは手に現れる 手荒れを悪化させる意外な原因←今回はココ
手荒れのセルフケア 症状別ハンドクリームの使い分け

手荒れの原因は「肌のバリア機能」の低下

 冬になると、手のカサカサ感やケバ立ちなどが気になるという人も多いだろう。

 「冬の手荒れは、空気が乾燥し、手の水分が蒸発することで起きる。手指が冷えて、血液循環や新陳代謝が悪くなり、角質層が硬くなりやすいことも一因」と、南青山皮膚科スキンナビクリニックの服部英子院長。

 本来、皮膚の角質層は、天然保湿因子(フィラグリン由来)や角質細胞間脂質(セラミド)などの「潤い成分」によって水分が保たれている。さらに、角質層の表面には、皮脂と汗が混じりあってできる皮脂膜というバリア機能があり、水分が逃げないようにガードしている。

 「しかし、手のひらは皮脂腺がなく、皮脂膜が薄いため、もともとバリア機能が低い。風邪対策などで手洗いや消毒の回数が増えることで、セラミドなどの潤い成分もどんどん洗い流されてしまい、バリア機能が低下し、さらに手荒れが起こりやすくなる。皮脂や潤い成分が減少する40代以降はさらにリスクが高まる」と服部院長。

【1】健康な皮膚(上図左)
健康な皮膚は、バリア機能である皮脂膜がきちんと保たれている。角質層では、角質細胞同士をくっつけて水分を保持する角質細胞間脂質がぎっしりと詰まり、天然保湿因子も十分にある。

【2】乾燥した皮膚(上図右)
外気の乾燥に加え、石けんによる手洗いや水仕事を繰り返すことなどによって皮脂膜が壊れている。角質細胞間脂質もはがれ、水分が蒸発しやすい状態に。天然保湿因子も減少している。

角質層が冷えて厚くなり、ひび割れも

 手荒れは症状によって、初期、進行期、重症期に分けられる。初期は指先のかさつきなどで、使用頻度の高い人さし指、中指、親指に出やすい。進行期は皮膚が粉っぽくなる、皮がむける、角質層が硬くなる、ひび割れなどが起きる。重症期には、手のひら全体に症状が広がり、じゅくじゅくしたり、手湿疹(主婦湿疹)や水ぶくれができることもある。

 「症状は初期で止まる人が多いが、紙をめくったり指先をよく使う人は摩擦が刺激となって進行期へ移行しやすい。最近では、パソコンのキーボードを長時間操作する人によく見られる。また、主婦や美容師、看護師、飲食関係者など、水仕事や手洗い回数の多い人は、重症化する傾向がある。乾燥した角質層は傷つきやすく、傷口から皮膚の中へ洗剤などの刺激物が入り込み、接触性皮膚炎を起こしやすいため。意外なところでは、紙や段ボール。特に、段ボールはくずが刺激となり湿疹が出ることもある」とドクターケンクリニックの中村健一院長。