首の凝りや痛みは、慢性化すると頭痛やめまい、うつ症状の引き金になる厄介な症状。しかし、その大半は姿勢の見直しで改善することを前回お伝えしました。仕事や家事の合間にたった数分でできる体操で首の痛みを軽減。毎日の生活の中でできる首に負担をかけない習慣を身につけて首の痛みをラクにしましょう。

悪い姿勢が引き起こす首の痛み 慢性化するとうつ症状も
・たたく・もむはNG 首の痛みはストレッチで解消しよう←今回はココ

セルフケア or 受診? しびれの有無をチェック

 首の痛みを軽減する体操やセルフケアをする前に、手指や腕のしびれの有無をチェックしよう。しびれがある場合は、早めの受診を。

手指や腕のしびれなし
◆ 肩や首の一時的な凝り
◆ 軽度の頸椎症
◆ 寝違え

椎間板のズレや筋肉の緊張が主原因。姿勢を正すセルフケアを。

手指や腕のしびれあり
◆ 頸椎椎間板ヘルニア
◆ 頸椎症性神経根症
◆ 頸椎症性脊髄症

椎間板や骨が神経を圧迫している可能性が。早めに受診を。(4ページで紹介)

ストレッチ&姿勢の見直しで首の痛みをラクに

 椎間板や筋肉のズレやこわばりといった不具合は、セルフケアで改善が可能とお茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニックの銅冶英雄院長と東京医科大学整形外科の遠藤健司講師は強調する。しかし自己流では逆効果になることも。例えば、凝った場所を「たたく、もむ」は常套手段だが、根本的な改善策にはならないと遠藤講師は話す。

 血行を促し一時的に不快感を和らげるのには良い方法としながらも、「血流が良くなるのは体表に近い場所のみで深部には及ばない。かといって強い力を局所にかけると筋肉組織を損傷する恐れも。損傷した組織は自然修復されるが、質が硬くなりやすい。そのためかえって凝りや痛みが増す恐れが」(遠藤講師)。

 首を回してコキッといわせるのも「音が鳴ること自体、状態が良くないあらわれ。その瞬間は気持ちが良くても、改善することはない」(銅冶院長)。市販の鎮痛薬も常用は良くない。痛みをごまかしているうちに病状が悪化する恐れがあるからだ。

 銅冶院長が提唱するのは、あごが突き出て前傾気味になっている首を本来の位置に戻す「首引き体操」。「痛みのもとになっていると考えられる髄核のズレを直すのに有効。首に痛みのある人の8割以上がこの体操で改善が期待できる」(銅冶院長)。

首引き体操

1. 軽くあごを引き、背すじを伸ばす(基本姿勢)。
2. あごを引いたまま、首に力を入れ後ろに引く。このとき、顔が上下に動いたり、肩がつられて後ろに反らないように。手で肩を押さえながらやっても良い。引き切ったらゆっくり1に戻す。10回を1セットとし、1日4〜5セット行う。

★1週間続けてみて、改善しない場合は「うつむき体操」を
首引き体操の基本姿勢から、頭のてっぺんを手で押さえ、あごをのどに押し付けるようにしてゆっくり頭を下げる。下げ切ったらゆっくり元に戻す。