女性ホルモンの2大不調である「PMS(月経前症候群)」と「更年期症状」。今回は、「更年期障害」の症状とセルフケア法のほか、PMSと更年期の治療法についてお伝えします。

【PMSと更年期障害】
2大ホルモン不調 PMSと更年期症状は何がつらい?
PMSの症状を軽くするには 何を食べると効果がある?
・PMSと更年期障害の治療 つらい精神症状を和らげよう ←今回はココ

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更年期症状の最初のサインは月経変化

 個人差はあるが、40代半ばごろになると、卵巣機能の衰えから更年期症状が現れだす。「最初に出てくるのは月経の異常。月経でない時期に出血したり、月経期間が短くなったり、逆に月経と月経の間が長くなったりする。それに続いてほてりや発汗、イライラなどの症状が出てくることが多い」と近畿大学東洋医学研究所の武田卓教授。

 更年期症状は疲れやすさや肩こりなどの身体症状から神経過敏、もの忘れ、不安感などの精神症状まで実に多彩。しかも複数の症状が重なって出ることも多い(下グラフ)。ただし、生活に支障が出るほどの重症例は1割強。「通常は2〜5年で治まることが多い」(武田教授)。

更年期はこんな症状で悩む人が多い
更年期はこんな症状で悩む人が多い
更年期外来を受診した日本人女性1069人(40〜59歳)が対象。一番多い症状は疲れやすさだった。日本は欧米に比べホットフラッシュが少ない傾向にある。 (データ:Menopause;11,6,631-638, 2004)

 そもそも更年期とは閉経を挟んだ前後5年間。日本人の平均閉経年齢は50歳で、1年以上月経がないと閉経と見なされる。卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンが減ると、脳からは「もっと出して!」と卵巣に指令が飛ぶ。卵巣はがんばるが以前のようには働けない。

更年期は脳と卵巣の連係が乱れる
更年期は脳と卵巣の連係が乱れる
女性ホルモンは卵巣から分泌されるが、常に脳からのホルモンの指令を受けている。更年期は卵巣機能が衰えるため、脳からの指令に十分応えられず、連係プレーが乱れる。その結果、全身にいろいろな不調が。

 アクセルを吹かし続けるような状態に体と脳がついていけなくなり、いろいろな症状が出てくるわけだ。エストロゲンの本格的な減少は40代後半からだが、ホルモンの揺らぎはその前の40代前半ころから始まっているという指摘も(下データ)。

女性ホルモンは40代前半から揺らぎ始め40代後半に激減モードに
女性ホルモンは40代前半から揺らぎ始め40代後半に激減モードに
女性ホルモンが乱高下しながら低下していくのが更年期だが、実はその前の40代前半ころから微妙なホルモンの揺らぎが始まる。このころに現れる月経異常や不調は、いわば本当の更年期の前の小さな嵐だ。

 対策はPMS同様、まずは日常生活から。食事では豆腐や納豆などの大豆製品を積極的にとりたい。サプリメントを活用するのも手だ。例えば大豆イソフラボンの活性を高めた大豆発酵成分「エクオール」のサプリには、ホットフラッシュの改善効果が認められている(下データ)。

エクオールで症状が改善
エクオールで症状が改善
閉経後女性126人(45〜60歳)がエクオールを1日10mg、12週間摂取。偽サプリ群に比べ、ホットフラッシュが明らかに改善した。エクオールは大豆イソフラボンが腸内細菌に代謝されてできる成分。 (データ:T J Women’s Health; 21, 92-100, 2012)
「エクエル」大豆イソフラボンの活性を高めた大豆発酵成分「エクオール」を4粒中に10mg含有。1日4粒。112粒入り、4000円(税別)。問/大塚製薬
「エクエル」大豆イソフラボンの活性を高めた大豆発酵成分「エクオール」を4粒中に10mg含有。1日4粒。112粒入り、4000円(税別)。問/大塚製薬

 適度な運動も続けたい。気分転換になり、自律神経も安定する。それでも症状がつらい場合は、我慢せずに治療を。ホルモン療法と漢方が頼りになる。