女性の約6割はPMSを経験している

 PMSは「毎月ある」「たまにある」を含めると、約6割の女性が経験。更年期症状については半数以上が「つらかった」と回答(下データ)。いずれも女性にとっては身近な症状だ。

6割の女性がPMSに悩んでいる
6割の女性がPMSに悩んでいる
35~59歳の女性659人を対象にインターネットでPMSの有無を聞いた。約6割の女性がPMSを自覚していた。(データ:左右とも2014年、ホルモンケア推進プロジェクト調べ)
半数以上が更年期のつらさを経験
半数以上が更年期のつらさを経験
35〜59歳の女性527人に現在と過去の更年期障害(日常生活に支障をきたすほどの症状)の有無を聞いた。日常生活にひどい支障が出るほどつらかった人は13%程度だった。

 なぜこんな不調が起こるのか。近畿大学東洋医学研究所の武田卓教授は、「ホルモンが上がったり下がったりする、その変動に弱い人が症状を覚えやすい」と話す。いわば女性ホルモンの「波」による揺さぶり。PMSが月経前にやって来る「毎月の波」だとすれば、更年期症状は人生のある期間に集中して押し寄せる「一生の波」ともいえる。

 もっとも、両者には明確な違いがある。「PMSは女性ホルモンが正常に働いているからこそ起こる。きちんと排卵している証拠でもある」と東京歯科大学市川総合病院産婦人科の小川真里子准教授。かたや、更年期症状は女性ホルモンが減少する時期に起こる(下データ)。

PMSは女性ホルモン安定期に、更年期症状は低減期に起きる
PMSは女性ホルモン安定期に、更年期症状は低減期に起きる
PMSは女性ホルモンの分泌が安定する20歳前後から更年期が始まる手前の40代前半ごろまで起こる。更年期症状はホルモン分泌が減る45歳以降、閉経を挟む10年の間に起こることが多い

 一般的にPMSは20代〜40代前半にかけて起こり、40代後半ごろから更年期症状が出てくる。気になるのはその関係。PMSがある人は更年期症状も出やすいのか。「海外では両者には関係があるとの報告が多い」と小川准教授。実際、PMSがある人はない人に比べ、更年期にホットフラッシュや抑うつなどの症状が出るリスクが高いという研究結果も(下データ)。

PMSの人は更年期にもつらい症状が出やすい
PMSの人は更年期にもつらい症状が出やすい
35〜47歳の米国女性436人を5年追跡。PMSがなかった人を1としたとき、あった人は、抑うつが2.3 倍など、更年期症状のリスクが高かった。(データ:OBSTETRICS&GYNECOLOGY;103,960-966,2004)

 揺らぎに弱い人は気をつけておいたほうがよさそうだ。次回以降で対策などを詳しく紹介しよう。

武田 卓
近畿大学東洋医学研究所 所長・教授
武田 卓 産婦人科医。東北大学産婦人科客員教授も務める。「PMSに悩む女性は多いが、治療を含め、十分な対策がとられていない。まずはPMSについて知ること。職場や社会での認知度を上げていくことも大事です」。
小川真里子
東京歯科大学 市川総合病院産婦人科 准教授
小川真里子 産婦人科医。専門は女性医学。「月経前には誰でも何らかの症状が出やすく、PMSは身近な不調。例えば米国では女性が『今、PMSなの』と言えば、ボーイフレンドにも通じるくらい一般に認知されています」。

取材・文/佐田節子 構成/黒住紗織(日経BP総研) イメージ写真/PIXTA

日経ヘルス2016年4月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります