うつは食事で改善できます。また運動や睡眠など日常生活を見直すと、心も元気に! うつになる原因には、仕事や人間関係などの慢性的ストレスが第一に挙げられますが、ほかに食事や運動、生活リズムの関与も大きく、近年これらの生活習慣を見直すことで、うつを食い止めたり、改善したりすることができると分かってきました。
前回の記事・じわじわ続くストレスで脳が傷つく うつチェック
最新研究で判明したうつに効く5大ポイントは下記の通り。
1. 食事は和食がいい
2. 体内リズムを乱さない
3. 肥満はうつの原因に
4. 腸内環境も影響する
5. 運動には薬並みの効果が
まずは食事でできることから紹介しよう。
【食事】不足しているのは葉酸 毎日の緑茶が効く
うつ病と食事との関係は深く、うつ病の人では特定の栄養素の不足が指摘されている。まずは葉酸。帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩教授らが行った最近の研究では、うつ病の人の4人に1人が血液中の葉酸値が低いという結果だった。「健康な人の場合は10人に1人なので、明らかに頻度が高い。葉酸不足がうつ病発症のリスクになることは以前から指摘されており、実際、葉酸の投与でうつ病が改善したとの報告もある」(功刀教授)。
葉酸はたんぱく質や神経伝達物質などの合成に関わるビタミンの一種。ホウレン草や小松菜などの葉物野菜、納豆などに多い。
ほかに鉄や亜鉛などのミネラル、青魚に多いn-3系不飽和脂肪酸のEPAやDHAなども、うつ病に関係する。不足しないよう、意識して食べよう。
【研究で分かってきた、うつにいい栄養素&食品】
葉酸
●ホウレン草・小松菜などの緑黄色野菜
●レバー
●納豆
鉄・亜鉛
●レバー
●牡蠣
●赤身肉
●大豆
●海藻類など
EPA・DHA
●サバ・イワシなどの青魚
善玉菌
●ビフィズス菌、乳酸菌を含むヨーグルトなど
これらの栄養素が足りないと、うつ病になるリスクが増すことが判明。不足しないよう気をつけて。ほかに大豆食品や肉、卵、牛乳などのたんぱく質も重要。アミノ酸はセロトニンなど神経伝達物質の材料にもなるからだ。
緑茶も積極的に飲むといい。緑茶を週に4杯以上飲む人は、3杯以下の人よりうつ病の人が少なかったとの報告が(下グラフ)。
「緑茶に含まれるテアニンには抗うつ作用がある。テアニンをマウスに継続投与すると、脳の海馬で神経栄養因子の増加が認められた」と功刀教授。
葉物野菜、納豆、魚、お茶……とくれば、やはり和食。和食中心の生活でうつを遠ざけよう。なお、小腹がすいたときなどはヨーグルトもお薦めだ。「うつ病の人ではビフィズス菌や乳酸菌が少ない傾向がある。腸内環境をよい状態に保つこともうつ対策に重要」と功刀教授は話す。