ストレスが多く、いつも不安。気力が低下し、集中できない……。こんな症状はうつの前段階かも? 不安からうつに進んでしまう原因や、血液検査でうつかどうかが分かる新しい診断法を紹介します。
じわじわ続くストレスが、うつをつくる
「最近、気分が落ち込む、仕事に集中できない、不安で落ち着かない……。もしかして、うつ病?」――そんな悩みを抱えている人も多いのでは。まずはうつ病チェックをしてみよう。
■ 物事に対してほとんど 興味がない、楽しめない
□ あまり食欲がない、または食べ過ぎてしまう
□ なかなか眠れない、または寝すぎてしまう
□ そわそわしていつもより動き回る、または話し方や動きがゆっくりになる
□ 疲れやすく、気力がない。 何をするのも面倒だ
□ 自分はだめな人間だ、または周りに申し訳ないと感じる
□ 集中するのが難しい、または優柔不断だ
□ 死にたいと思うことがある
上記の■は「抑うつ気分」と「喜びの消失」を表す。これらのうち少なくとも1つに該当。さらに上記の□の症状も合わせて5つ以上に当てはまる状態が2週間以上続く場合、「うつ病」と診断される。うつ病は不安を伴いやすく、特に初期は強い不安に駆られることが多い。
初期症状として多いのは「不安」
上記のチェック項目にあるように、うつ病では気分の落ち込みや喜びの消失などが見られるが、初期症状として多いのは不安だという。「不安からうつ病に進む人はとても多い。不安が強いと眠れなくなったり、疲労がたまったりして、うつ病になりやすくなる」と帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩教授。
もっとも、うつ病にはならず、強い不安だけが続くことも。これは「不安障害」と呼ばれる。
川村総合診療院の川村則行院長は、「不安障害と不安を伴ううつ病は区別して扱ったほうがいい」という。関係する脳内の神経伝達物質が異なるからだ。不安や焦燥、緊張といった感情は、脳内のセロトニンという物質の機能低下が関係している。一方、憂うつや意欲の低下にはノルアドレナリン、喜びの消失にはドーパミンの機能低下がある。
つまり、不安障害にはセロトニンが関わるが、うつ病には3つの物質全部が関与する。「両者を区別しておくと薬を適切に選択でき、治療がうまくいく」と川村院長。次のページでは薬物治療について紹介する。