不眠につながる生活習慣の改善を

 「不眠につながる生活習慣の改善も並行して行うと、より効果が出やすい」と田中准教授。

 例えばカフェイン。眠りを催すアデノシンの働きをブロックして覚醒させるうえ、概日リズムを遅らせるので、カフェインは就寝4時間前までにはとるのをやめること。

カフェインはメラトニン分泌を遅らせる
カフェインはメラトニン分泌を遅らせる
普段の就寝時刻の3時間前にダブルエスプレッソ1杯に相当するカフェイン(体重1kg当たり2.9mg)をとり光を浴びたときの影響を調べた。結果は、弱い光のみに比べ、それにカフェインを加えた場合はさらに40分、強い光のみだと85分、強い光+カフェインでは105分、メラトニン分泌が遅れた。(データ:Sci Transl Med;7,305,305ra146)

 寝酒もNG。「アルコールは脳のGABA受容体に結合して眠気をもたらす反面、深い睡眠を減らす。代謝が速いため途中で作用が切れ、禁断症状としての早朝覚醒を起こすほか、アルコール依存につながる恐れもあるので晩酌で楽しむ程度にとどめて」と秋田大学大学院 医学系研究科精神科学講座の三島和夫教授。

 暗くなってからの運動にも注意が必要だ。「日中の活動量が高い人は疲れているので、夜にランニングをしても眠れるが、活動量の低い人が同じことをすると逆に覚醒度が上がって眠れなくなる。その場合はむしろ日中に運動を」と国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部の栗山健一部長。

 一方、新たな不眠対策として注目されているのが「マインドフルネス瞑想」。後悔や取り越し苦労をやめ、「今この瞬間」に意識を集中させるトレーニング法で、軽い不眠がある人の睡眠の質を向上させ、疲労、うつを軽減することが確かめられている。

マインドフルネス瞑想で睡眠の質が改善
マインドフルネス瞑想で睡眠の質が改善
軽い不眠がある49人(平均66歳)を2群に分け、一方は6回の講習でマインドフルネスの基礎を学びながら、自宅で毎日5〜20分の座禅、五感を使った食事などを行った。6週間後、マインドフルネス群は対照群に比べ睡眠障害のレベルが低下した。(データ:JAMA Intern Med;175,4,494-501)