不眠のケアは症状の持続期間によって異なります。不眠のタイプには、ストレスや冷え、のぼせなどによって引き起こされた一時的なものや、眠れないことに対する不安が大きくなってしまう不眠などがあります。まずは自分の不眠のタイプを知りましょう。

自分の不眠が慢性か急性か知ることで対処法が変わる
自分の不眠が慢性か急性か知ることで対処法が変わる

不眠のきっかけはストレスや体調不良から

 不眠とは、寝つきが悪くなったり、夜中や朝方に目が覚めて日中の活動に支障が出ている状態だ。「急性不眠」と「慢性不眠」の2つに大別される。

【CHECK!】まずは不眠症かチェックしてみよう。1カ月以上続いたら慢性不眠を疑って
□ なかなか寝つけない
□ 夜中に何度も目が覚める
□ 起きたい時間より早く目覚める
□ 日中、眠くて仕方がない
□ 疲れやすい、体がだるい
□ 集中力・注意力が低下している
□ やる気が出ない
□ イライラして情緒不安定
□ 眠りに対する心配や不満がある

睡眠障害国際分類による診断基準では入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒のいずれかに加え、日中の過度の眠気や集中力の低下などの問題が週3日以上、3カ月以上続いた場合を「慢性不眠」としている。ただし、睡眠の専門家の多くは、1カ月以上続いた時点で慢性不眠を疑い、医療機関を受診するよう薦めている。

 「急性不眠」は、不眠が始まったばかりの状態。「仕事や人間関係のストレスで数日くらいよく眠れなくなるのは誰にでもある生理的な反応。『こんなときは眠れなくても仕方がない、そのうち眠れるだろう』と思える人は自然に抜け出せる」と秋田大学大学院 医学系研究科精神科学講座 三島和夫教授。

 女性の場合、冷えやのぼせ、脚のむずむず感などちょっとした体調不良によって急性不眠が引き起こされることも多いが、「原因がはっきりしている不眠は治しやすい」と東邦大学医療センター大森病院東洋医学科の田中耕一郎准教授は話す。

女性の不眠は入眠障害と中途覚醒が多い
女性の不眠は入眠障害と中途覚醒が多い
日本の300地域から無作為に選んだ成人男女2万8714人に睡眠の状態をアンケート調査。女性の不眠症状は入眠障害と中途覚醒が多く、どちらも50代から急増した(グラフ)。一方、日中に過度の眠気がある女性は20代4%、30代2.8%、40代3.0%、50代1.9%だった。(データ:J Epidemiol;15,1-8,2005)