前回は「更年期かも症候群」と本当の更年期との見分け方をお伝えしました。今回は、「更年期かも症候群」の治療やセルフケアをご紹介します。
前回記事・この不調は更年期? 「更年期かも症候群」の可能性も
早い対処をすればリアル更年期の予防にも
前回の記事で、私は「更年期かも症候群(以下、かも更)」だと分かった。月経不順や不調はあるけれど、まだリアル更年期(以下、リア更)ではないから、我慢しよう──。
この発想はNG。逆に、「かも更」だからこそ早く対処すべきとよしかた産婦人科(横浜市港北区)の善方裕美副院長はアドバイスする。
「この時期から治療やセルフケアを始めておけば、本格的な更年期になってからの症状が軽くてすむ。むしろ先手を打つ、いい機会ととらえて」。
特に更年期症状が強く出やすい可能性がある人は、かも更の段階から準備を。例えば、「PMSがひどかったり、産後うつになったりした人は、もともとホルモンの変動に弱いため、更年期の揺らぎに翻弄されやすい」と東京医科歯科大学大学院女性健康医学講座の寺内公一教授。生まじめでストレス発散が下手な人も、症状が強く出やすい傾向がある。
□産後のうつ症状がつらかった
□思春期に気分変調が強かった
□ストレス発散が苦手
□生まじめ・責任感が強い
PMSがひどい、産後や思春期に気分が落ち込んだ……。そんな人は女性ホルモンの変動に影響されやすく、更年期症状も強くなりやすい。まじめで、ストレスを抱え込む人も要注意!
月経がしばらく来なかったり、周期が以前と変わったりしているなら、まずは婦人科で診てもらおう。治療は、ホルモン剤と漢方薬が中心になる。「無月経が3カ月も続いているなど、月経異常がひどい場合や40代の場合は、最初からホルモン剤で治療する。症状が比較的軽く、他の体調不良なども伴うようなら、まずは漢方薬で様子を見ることが多い」と善方副院長。
ホルモン治療では、エストロゲンなどの女性ホルモンを補って、正常な月経周期や排卵を回復させる(下図参照)。
「更年期かも症候群」の代表的なホルモン治療
漢方薬も有効
漢方薬は、かも更にもリア更にも効果的。月経異常だけでなく、めまいや冷え、不眠など心身の不調も一緒に和らげてくれる。
リア更でもかも更でも、「この時期よく使われる3大漢方は、加味逍遥散(かみしょうようさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」と寺内教授。イライラが強い場合は「抑肝散(よくかんさん)がよく効く」(善方副院長)。ホルモン剤と漢方薬を併用することも多い。
「卵巣機能が多少低下していても、早めに対処すれば、正常な状態に戻ることもある。その後に来る更年期症状の予防にもつながる」と善方副院長。
「当帰芍薬散」などの漢方薬は婦人科でよく処方される(健康保険が適用)。もちろん市販薬もあるので、体質に合ったものを選ぼう。