更年期かも症候群は、セルフケアで症状が軽くなる

 セルフケアも、かも更の段階から始めておきたい。まずは体の変化を知るためにも、基礎体温をつけよう。毎日でなくてもいいので、月経周期や高温期の有無、出血の状態などを下記でチェックしておくといい。

基礎体温は4つのポイントでチェック

1. 月経は何日ある?
だらだら出血したり、逆に少量の出血ですぐに終わったりしてない?

2. 高温期はある?
本来は排卵を境に体温がぐっと上がる。低温期より0.3℃以上高くなったら高温期といえる。

3. 高温期は何日?
通常は約2週間。10日未満の場合は黄体機能不全の可能性が。逆に、3週間以上続けば妊娠。

4. 次の月経は何日後?
前の月経の始まりから、次の月経が始まる前日までが1周期。25〜38日以内が正常範囲とされる。

朝、目が覚めたら、床の中で測る。目盛りの細かい婦人用体温計を使うのが基本。多少測り忘れてもかまわない。おおよその変動をつかむようにしよう。低温期と高温期がある2相性になっていたら、排卵している証拠。高温期が短い、または、ない場合は無排卵月経の可能性が
朝、目が覚めたら、床の中で測る。目盛りの細かい婦人用体温計を使うのが基本。多少測り忘れてもかまわない。おおよその変動をつかむようにしよう。低温期と高温期がある2相性になっていたら、排卵している証拠。高温期が短い、または、ない場合は無排卵月経の可能性が

 食事も重要だ。「やせすぎは卵巣にもよくない。たんぱく質も含むバランスのよい食事で、適正なカロリーをとって」と善方副院長。

 また、寺内教授は、「閉経には酸化ストレスが関係している。卵巣機能を少しでもよい状態に保つには、抗酸化作用のある食品をとるよう心掛けるといい」という。寺内教授らの最新の研究では、抗酸化作用のあるブドウ種子ポリフェノールの摂取で、ホットフラッシュ(のぼせ、発汗など)や抑うつ、不眠などの更年期症状が改善することが分かった(下記グラフ)。

抗酸化成分が更年期症状を改善

ホットフラッシュのスコア
ホットフラッシュのスコア
更年期症状のある40〜60歳未満の女性96人が対象。ブドウ種子ポリフェノール(プロアントシアニジン)を1日200mg(高用量群)、100mg(低用量群)、偽サプリの3群に分け、それぞれ2カ月間摂取し続けた。その結果、高用量群でホットフラッシュの改善が確認された。 (データ:Menopause;21,9,990-996,2014)

 また、トマトジュースの継続的な摂取でも、更年期症状の改善や基礎代謝アップなどが認められたという。

 豆腐や納豆などの大豆製品も積極的にとりたい。大豆イソフラボンには女性ホルモンに似た作用のほか、抗酸化作用もある。

 サプリメントなどを活用してもいい。「症状がひどくなる前に試す価値はある」と善方副院長。例えば、大豆イソフラボンの活性を高めた大豆発酵成分「エクオール」のサプリや、この時期に必要な生薬やビタミンを複数配合した市販薬などは、“かも更”にも向いている。

 運動も欠かせない。「運動時には自律神経がフルに働く。ウオーキングなど、屋外で日光を浴びながら一汗かくのがいい。汗をかくと自律神経の乱れもリセットしやすい。ヨガやアロマもお薦め」と善方副院長。

 かも更対策は日々のセルフケアから。続ければ、この先に訪れるリア更も軽くなるはず!

いつ閉経するかは人によって違う。喫煙者は閉経が早くなる
閉経年齢は50歳ごろが平均的だが、個人差がある。40歳未満だと「早発閉経」と呼ばれ、骨や血管の老化を防ぐために少量の女性ホルモンを補充する治療を薦められる。「喫煙者や強いストレスにさらされている人、低栄養の人、BMIが18.5未満のやせの人も、閉経が早くなりがち」と善方副院長。一方、子宮筋腫がある人は閉経が数年遅い傾向に。
善方裕美
よしかた産婦人科(横浜市港北区)副院長
善方裕美 「横浜市立大学附属市民総合医療センター婦人科女性ヘルスケア外来」でも診療。「卵巣は50年しか働けないナイーブな臓器。低栄養やストレスにも弱い。卵巣のためにも日ごろから睡眠、運動、栄養に気をつけて」。
寺内公一
東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 女性健康医学講座 教授
寺内公一 産婦人科医。専門は更年期障害や骨粗しょう症など。食による女性の健康維持をテーマにした研究も。「病院で治療を受ける前に生活を見直してみる。サプリなどを活用するのもいい」。

取材・文/佐田節子 構成/黒住紗織(日経BP総研) 写真/PIXTA