このもの忘れは認知症のせい?

 「もしかして、このもの忘れは認知症のせい?」と思い当たるなら、下記のことをチェックしてみよう。いくつ当てはまるだろうか。

■ 食べたものではなく、食べたこと(体験そのもの)を思い出せない
■ 何度も同じことを言ったり、 聞いたりする
■ いつもの道で迷子になった
■ むしろ家族のほうが心配している

⇒ すべてNOなら心配ご無用。認知症の可能性は低い!

「もの忘れ」の原因はどこにある?

 下記の項目にチェックが入るかどうかを確認しよう。可能性は6タイプ。

ストレス・疲労かも
□ 慢性的な睡眠不足、疲れがたまっている
□ 不安や悩みを抱えている
□ やることが多すぎて頭の整理ができない

ストレスや悩み、疲労、睡眠不足などで頭が十分働かないために、もの忘れが増える。このタイプが一番多い。

うつ病かも
□ ぐっすり眠れない
□ やる気が出ない、楽しめない
□ マイナス思考になった

うつ病のために、記憶力や集中力、注意力などの脳の働きが低下し、覚えられない、思い出せないという状態に。

更年期症状かも
□ 40〜50代になってから、もの忘れが増えた
□ のぼせや肩こりなどの不定愁訴もある

女性ホルモンのエストロゲンは脳の情報伝達にも関わっている。これが減る更年期には、もの忘れも増えやすい。

てんかんかも
□ 数分〜数十分、記憶が飛ぶことがある
□ 意識が一時的に朦朧(もうろう)とすることがある
□ においに敏感になったり、見え方がおかしくなったりする

けいれんは伴わず、数分〜数十分間、意識だけが朦朧となるてんかんがある。40代以降に発症することが多い。

甲状腺機能低下症かも
□最近、太ってきた・むくみやすくなった
□寒がりになった、肌もかさつく
□疲れやすい、眠い

甲状腺の機能が低下して、全身の新陳代謝が落ちる。記憶力低下や眠気、無気力なども表れやすい。女性に多い。

栄養不足かも
□ 過度なダイエットをしている
□ 食べるものが偏っている

ビタミンB群などの栄養素が不足すると、疲れやすい、頭が十分働かないなどの症状が。10代、20代の女性に多い。

 近日公開予定の下編では、もの忘れの改善方法や認知症予防になる生活習慣についてご紹介します。

朝田隆
東京医科歯科大学特任教授
朝田隆 認知症が専門。「もの忘れ外来」も担当。「認知症の大半は高齢になってから発症するが、実は25年ほど前から始まっている。40歳からはアルツハイマー病を予防する生活を心がけて」。
牧野真理子
牧野クリニック心療内科(東京都中野区)医師
牧野真理子 専門は摂食障害などの女性の心身症。「受診して、愚痴を言えただけで心がすっきりし、もの忘れも気にならなくなったという患者さんもいた。ストレスを多く抱えている人、うつでつらい人は早めに専門家に相談を」。
篠原菊紀
公立諏訪東京理科大学・医療介護健康工学部門長
篠原菊紀 専門は脳科学。「脳にアミロイドβなどが蓄積していても認知症の症状が出ない人も。若いうちから頭をしっかり使ってきたことで認知的予備能力が鍛えられ、失われた脳の機能を補っていると考えられる。要は使うことです」。

取材・文/佐田節子 構成/黒住紗織

日経ヘルス2014年4月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります