睡眠時間は足りているのに、ぐっすり眠った気がしない──。熟睡感が得られない背景には、実は「寝すぎ」やストレス、体の異常、月経周期などの原因が潜んでいます。あなたの眠りを妨げている原因を知りましょう。

あなたの眠りを妨げているものは…?
あなたの眠りを妨げているものは…?

第一の原因は「寝すぎ」、高温期も眠りが浅くなる

 朝起きたとき、すっきりしない。十分寝たはずなのに、眠った気がしない。そんな熟睡感のなさに悩んでいないだろうか。

 「眠りが浅いと、朝目覚めたときに休息感や充足感がなく、熟睡感も得られない。原因はいろいろあるが、大人の場合、一番多いのは寝すぎ」と日本大学医学部精神医学系の内山真教授は指摘する。睡眠時間は長いほうがいいと思いがちだが、長すぎると眠りの質が低下する。「加齢とともに、ぐっすり眠れる時間は短くなる。若いころと同様に8時間以上も寝ていると、睡眠自体が浅くなり、熟睡感が得られない」と内山教授。

 また、月経周期も影響する。「黄体ホルモンの働きで体温が上がる『高温期』は、夜になっても体温が下がりにくく、眠りが浅くなる」と内山教授。そもそも眠りと体温との関係は密接。活動する日中は体温が高く、夜になると低くなるが、この高低差が大きいほど眠りは深い。高温期は体温が高いままで、昼夜のメリハリが小さく、体が夜モードになったことを示すメラトニンの分泌量も少ない(下記グラフ)。

夜に体温が下がりにくい高温期は眠りが浅くなる
夜に体温が下がりにくい高温期は眠りが浅くなる
体温は日中に高く、夜眠るころには低下する。黄体ホルモンが分泌される高温期は、低温期に比べて日中も夜間も体温が高く、体が夜モードになったことを示すメラトニンの分泌量も少ない。このため、眠りが浅くなりやすい。グラフは、20〜23歳の健康な女性8人を対象に深部体温とメラトニン分泌を調べた結果(データ:BIOL PSYCHIATRY 2000;48:1062-1068)