悩んだり、イライラしたり、日々浮き沈みする心を穏やかにしたい……。そんな悩みに、心理カウンセラー僧侶の羽鳥裕明さんが寄り添い、仏教と心理学の視点からヒントをくれるこの連載。11回目は、つい「自分のせい」と思ってしまう心の原因、そしてうまく切り離して物事をニュートラルに見る方法を教えてもらいます。

大人になった今こそ自分で新しい種をまき、自分の花を咲かせることができる!
大人になった今こそ自分で新しい種をまき、自分の花を咲かせることができる!

 何かトラブルが起こったときに、反射的に「私のせいかな」と思ってしまう人がいます。いつも自分のことをどこかで否定してしまう、そういった人の中には、子どものころに親や身近な大人から「おまえがいるからこうだった」とか、「おまえがこうやったからだ」と否定され続けたことによって不安感が強くなったり、ネガティブな考え方が定着してしまったケースが見受けられます。

 親子関係や子どものころの家庭環境に起因して自己肯定感が低くなり、そうしたことで生きにくさを感じている方からのご相談を長年お受けしておりますが、私はそんなとき「 あなたの性格がネガティブなのではなくて、もともとそういった言葉をかけた相手の方のほうに悩みや葛藤があり、それが影響していることもあるのですよ」とお話ししたりもします。

 「おまえのせいだ」と言われた子どもは、次第に「自分は人に迷惑をかける存在なんだ」と感じるようになります。そして、その気持ちを大人になってもずっと引きずっているのです。