チャンスはピンチの顔をしてやってくる

 心理学においても、とらえ方そのものを見直すことを目的とした「認知行動療法」という心理療法があります。自分が遭遇した出来事をどう認知し、解釈をするのか。出来事そのものはまったく変わらなくても、解釈の仕方を変えてみるだけで、気持ちが軽くなり楽になることがあります。

 私自身も、人生において、目の前に大きな壁が立ちふさがり、視界が狭くなりそうになることがあります。そんな、自分の思い通りにならないことが起こったときでも「これは自分にとって都合の悪い出来事ではあるが、善悪の悪ではない」と考えるようにしています。これによって自分も学ぶことができたし、よい経験だったのではないか、というふうに色々な視点から「一水四見」の感覚で思いを巡らせているうちに、心が落ち着いてくるのです。

 私は「チャンスはピンチの顔をしてやってくる」という言葉も、視点を変えるきっかけに使っています。ダメだと思っても、「こんな考え方もあるかもしれない!」と逆転の発想をしてみると、自分の視野がずいぶんと狭まっていることに気づくことができます。そして、別の見方をすることで、壁を突破する力がわいてくるのです。