180度違うことをしてみよう

 これから何かを始めたいと思うときには「今までのやり方を変えていこう」という強い意志を持つようにしてみましょう。

 そのときに一つの目安にしたいのが「これまでとは180度違うことをしてみる」ということ。仏教では、原因があって結果がある、という「因果(いんが)」という考え方があります。つまり、単純に言えば、今幸せならばこれまでと同じやり方をすれば幸せでいられる可能性が高く、逆に、何かを変えたいならこれまでと180度違うやり方をすれば、結果も180度変わるのです。「どうせダメだ」が口癖だったのなら「きっとうまくいく」という口癖に変えたり、「誰かが挨拶してくれるのを待つ」だけだった人は「自分から挨拶する」に変えてみる、そんなことから始めましょう。まず、180度変えてみること。とりあえず両極端なことをやってみると、そこで得た感触から、自分にとって最も程よいやり方が見えてくるものです。

 また、密教では「事相(じそう)と教相(きょうそう)」というものを大切にしています。事相とは、実践。教相とは、理論。理論だけでは不十分で、学ぶことと行動することが両輪となり回ることが物事の達成には不可欠という考えです。何かを始めるときは、ある程度考えることも大切。でも、それだけでなく、行動に移してみましょう。考えながら動く、壁にぶつかったらそこでまた考える。そうやって繰り返しているうちに、あなたの「こうなりたい」というイメージは実現していきます。

 趣味、資格取得、海外留学、婚活など、興味は多少あったけど今まで積極的にチャレンジしなかったことを始めてみる。そんな明確な意志を持ったときから、あなたの人生の可能性は無限に膨らんでいくのです。

今回のアドバイス
何かを始めるときは、「実践」と「理論」のバランスを大切に行動しよう
密教では「事相【実践】」と「教相(理論)」のバランスが大切だという教えがあります。例えばテニスの場合、教科書を見るだけでは打てないし、最初からただラケットを振るだけでは、正しいフォームは学びにくいもの。どんなことであっても、学び、実践してみて、壁にぶつかったら修正するべきことを学ぶ、という繰り返しによって、その人の才能を磨いていけます。
羽鳥裕明
心理カウンセラー僧侶
羽鳥裕明 1968年生まれ。心理カウンセラー。真言宗智山派 僧侶。大学卒業後、9年間企業でエンジニアとして働いた後、31歳で得度し僧侶となる。悩みを抱える人の身近な存在でありたいという思いから、悩み相談の「駆け込み寺」を開設し、悩みごと相談を行う。著書に『悩みが消えるお坊さんの言葉』(サンマーク出版)
http://hatorihiroaki.com/

取材・文/柳本 操 写真/PIXTA

日経ヘルス2016年9月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります