悩んだり、イライラしたり、日々浮き沈みする心を穏やかにしたい……。そんな悩みに、心理カウンセラー僧侶の羽鳥裕明さんが寄り添い、仏教と心理学の視点からヒントをくれるこの連載。6回目は、「なぜだか自分ばかりが損な役回りを押しつけられている」と感じたとき、気持ちを上手に切り替える方法を考えてみましょう。

「してあげたのに」という気持ちではなく、「させていただいた」という謙虚な気持ちを持つことでいつでも心穏やかにいられる。
「してあげたのに」という気持ちではなく、「させていただいた」という謙虚な気持ちを持つことでいつでも心穏やかにいられる。

 普段接する上司など、相手の言い分が明らかに「理不尽だ」と感じるとき、「自分のほうが正しい」と思えば思うほど視野が狭くなり、心もかき乱されてしまうもの。そんなときには、探検家が急流をラフティングするような気分で、あえて相手の指示した方向に流されてみる。すると、まわりの景色が今までと違って見えてきたり、思わぬ発見があるかもしれない——といったお話を前回はさせていただきました。

 今回はさらに踏み込んで、積極的にアクションを起こしてみたものの「自分ばかりが損をしているようで報われない」と感じるとき、自分を肯定するにはどうしたらいいかについてお話ししていきましょう。