苦手な人への対処法がパターン化してしまったら

 このような恐怖心の克服法は、大人になっても、苦手な人に対して恐怖を感じた瞬間に「クセ」として現れます。ストレスに対する対処法としてあなた自身を支えてきてくれたものではあるのですが、問題は、常にそのやり方ばかりに頼っていると、徐々にエスカレートしてしまうことがある、ということ。

 心理学では、このようにストレスに対する対処法が知らず知らずのうちにパターン化してしまうことを「心のクセ」ととらえます。苦手な人への対処法が頑なな「クセ」になってしまい、人間関係がギクシャクしてしまった。そんなときには、いつかお互いを理解しあえるように、あえて心理的な距離を置くというのも一つの方法です。

 例えば、あなたは苦手な相手に100%好かれたい、100%信頼しあいたい、初めからいきなり100%理解しあいたいと思っていないでしょうか。

 人間は、いろいろな考え方、タイプの人がいるものです。何も言わなくても仲良くなれる人もいれば、まったく価値観が異なる人もいるのが当たり前。しかし、いざ生身の人に接すると、誠実で頑張り屋の人ほど、無意識に「100%」の力でいきなり初めから付き合おうとして、うまくいかない現実に悩んでしまうのです。すべての人と初めから100%と気負わず、相手によって30%から、あるいは80%からなどと、意識的にメリハリをつけることによって、すべての人と初めから理解しあおうとしなくても、「いつかは理解しあえる日が来る」と気持ちに余裕が持てるようになってきます。