恐怖への対処法はある程度幼年期に身につけている

 「苦手な人」と接して追い込まれたとき、あなたはどんな状態になるでしょうか。ドギマギしてその場を取り繕おうとする、あるいは、黙り込んでしまう。反対に、イライラして大声を出すなど攻撃的になってしまう人もいるかもしれません。知識がないのに知ったかぶりをして「ああ、それは存じ上げています」などと口走って、後悔する人もいるでしょう。

 どういった反応が起こるにしても、特定の人を前にして心がかき乱されてしまう根底には「恐怖心」があるようです。

 恐怖心は、「相手に好かれなくてはこの社会で生きていけない」というような、生命の危機につながっています。この恐怖心は、「身の回りにいる人の仲間に入れないと一緒に収穫ができない、狩りにも行けない」という、人間の持つ本能的な部分から発されています。誰かに苦手意識を感じると、顔色が気になる。声色も気になる、相手がため息をついただけでドキッとする、など、全方位で相手のことを気にしてしまうのです。

 実は、人はこのような「恐怖心」の克服の仕方を、子どものころからある程度身につけています。怖いと感じたときに、わっと大きな声を出したら相手が黙った。すると、苦手な相手を攻撃し、威圧するのが賢い方法だ、と学習します。あるいは、じっと沈黙していたらなんとかやり過ごせた人などは、大人になっても同じパターンで恐怖に対処するようになるのです。