心の葛藤を外側に取り出す

 努力しているつもりなのになかなか思うように仕事のスキルが上がらない。周囲に認められたいのに、うまくいかない。そんなふうに心がもやもやして苦しくなったときは、一度、あなたの心の葛藤を外側に取り出してみましょう。

 ノートを用意して、一方に「こうなりたい」という理想の自分を、もう一方に「現状はこうだ。でも、○○な感じだけど私なりにやっている」という現実の自分を書き出してみる、つまり、「明らかに」してみるのです。

 思い描いていた理想の自分を文字で眺めてみると「そんな完璧な人間、いないよ!」と自分に突っ込みを入れることができ多角的に自分を見ることができるかもしれません。また、現実の自分を見つめてみると、「なかなか健気に頑張っているな」と自分を認める気持ちになったり、できないということを素直に受け入れることができたりします。さらに、「ここはちゃんと出来ているから、次はこういうところを意識するといいのかもしれない」と、客観的な発想も生まれてくるものです。

 人は自分の経験や生い立ちなどからどうしても思い込みが強くなってしまいがちです。煮詰まったときこそ物事を「明らかにする」という習慣を取り入れてみましょう。すると、「これが私。これからは肩の力を抜いて、マイペースでいこう」と思えるようになるかもしれません。

今回のアドバイス
「できない自分」が嫌になったら、「理想」と「現実」の両方を書き出して客観視してみよう
自分が思い描いている自分と、現実のありのままの自分を、文字にして書き出してみよう。左右に並べてみると、ギャップに気づくと同時に「自分なりにやっている」ことを再発見することができるかもしれない。すると、ありのままの自分を客観視できるようになり、自然体の自分でいられるようになってくる。
羽鳥裕明
心理カウンセラー僧侶
羽鳥裕明 1968年生まれ。心理カウンセラー。真言宗智山派 僧侶。大学卒業後、9年間企業でエンジニアとして働いた後、31歳で得度し僧侶となる。悩みを抱える人の身近な存在でありたいという思いから、悩み相談の「駆け込み寺」を開設し、悩みごと相談を行う。著書に『悩みが消えるお坊さんの言葉』(サンマーク出版)
http://hatorihiroaki.com/

取材・文/柳本 操 写真/PIXTA

日経ヘルス2016年6月号掲載記事を再構成

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