味噌づくりマスターに聞く味噌づくりQ&A

Q. 乾燥麹と生麹の違いは?
A. 水分量の違いで、保存期間が異なります。
「生麹は生ものなので日持ちしませんが、でんぷんを糖に変える働きが強く、まろやかで風味の良い味噌ができます。乾燥麹は保存がきくように乾燥させたもので、水で戻して使います」(小泉さん)。

Q. カビが生えてきた。もう食べられない?
A. カビを取り除けば食べられます。
「家庭で手作りする味噌は、防腐剤などを使わず自然の食材だけで熟成させるため、どうしてもカビは発生しますが、カビが生えた表面を取り除けば食べられます。カビを防ぐには、味噌の表面をラップなどでしっかり密閉すること。手すきの和紙を使ってもいいです。表面に振り塩やアルコール消毒をする所もあります。また、重石をすることで表面がしっかりと密閉され、味噌の水分が上部まで上がりやすくなります」(マルカワみそ店長の河崎紘一郎さん)。

Q. 手作り味噌の食べごろは?
A. ひと夏を越えると食べられますが、10カ月〜1年で味と香りが乗る。
「味噌は夏ごろから発酵が進み、味噌らしい風味が醸されますが、10カ月〜1年熟成させると、味噌本来の風味とコクが増します。蓋を開けて試食してみましょう」(河崎さん)。

Q. なぜ寒い時期に仕込むといいのですか?
A. ゆっくり発酵して、味に深みが出やすくなります。
「味噌の仕込み時期は1〜3月が理想的。気温が低い冬場から、ゆっくり時間をかけて発酵させることで、味に深みが出ておいしく仕上がる」と河崎さん。「発酵は仕込んでから1カ月ほどたってから温度が上がるのがいい。寒い時期は雑菌の繁殖が少なく、麹がゆるやかに働く。その後温度が上がると酵素や酵母の働きがぐんとアップし、味と香りが出やすくなる」(東京農業大学応用生物科学部醸造科学科の柏木豊教授)。

Q. 味噌を熟成させる容器はどんなものがいい?
A. プラスチック製の漬け物用容器、木桶、かめなど。
「容器は何でもOK。木桶には菌がすみつき、味、香りが良くなるといわれます」(河崎さん)。大きさは乾燥大豆1kgで5L容器(直径21 cm、高さ18 cm程度)が目安。

Q. 「麹歩合」とはなんですか?
A. いわば味噌のレシピで、風味が決まります。
 麹歩合とは大豆に対する麹の比率のこと。例えば乾燥大豆10kgに対して麹が8kgなら麹歩合8、麹が12kgなら麹歩合12になる。「麹が多いと米の甘みや麹の香りが強くなる。一方、麹が少ないと大豆の旨みや食塩の塩味が強くなる傾向に」(河崎さん)。一般的に家庭で手作りする場合は、麹歩合10程度を目安に。

取材・文/渡辺満樹子 写真/野口健志、スタジオキャスパー