気温が低く、発酵がゆるやかに進むこの時期は、味噌仕込みのベストシーズン。ひと手間かかるが、家庭で手作りすると驚くほどおいしい味噌ができる。基本的な味噌作りの方法をご紹介します。

 「家庭での味噌作りのポイントは豆の煮具合」と話すのは、小泉麹屋4代目の小泉聡さん。

 「一晩かけて大豆に水を十分吸わせ、指でつぶせるくらいまで軟らかく煮ることが大切」(小泉さん)。次に手間がかかるのが、大豆をつぶす作業。すりこぎ棒、手のひら、フードプロセッサーを使ってもいい。

 手作りの味噌はカビやすい。味噌タネは空気を抜くようにして保存容器に詰め、味噌の表面に空気が触れないようにして保存する。1〜3月に仕込んだ味噌の食べごろは、ひと夏を越えた後、10カ月〜1年たったころ。出来上がったら別の容器に移して冷蔵庫や冷凍庫で保存して。

「手前味噌」を作ってみよう

【用意するもの】

 (家庭で作りやすい基本的な分量、出来高約3kg)乾燥大豆500g、米麹500g、塩200g。味噌の保存容器。そのほか味噌重量の30〜40%くらいの重石、ラップ。保存容器は内側を拭き取り、清潔に。

【作り方】

●前日
1. 大豆を水でよく洗い、18時間以上水に浸す

 容器に大豆を入れ、米を研ぐように豆同士をこすり合わせて洗う。水が澄んでくるまで3回ほど洗う。大豆の3倍以上の水を入れ、大豆が2〜3倍に膨らむまで一晩(18時間以上)浸す。しっかり吸水できているか、大豆を割って芯がないことを確認する。

●当日
2. 大豆を煮て熱いうちにつぶす

 水を捨てて鍋に移し、大豆の3倍以上の水を入れる。強火にかけ、沸騰したら弱〜中火にして約5〜6時間ほど煮る(※圧力鍋で煮てもOK)。指でつぶせる程度が目安。ゆで上がったら水を切り、熱いうちにすり鉢などですりつぶす。煮汁は残しておく。

3. 米麹をほぐして塩と混ぜる

 ボウルやバットに麹と塩を入れて、麹の塊を手でほぐしながらよく混ぜる。
※塩と麹が混ぜてある「塩切り麹」は不要。

4. 潰した大豆と麹を混ぜ合わせる

 つぶした大豆の熱がとれたら麹をよく混ぜ、耳たぶくらいの硬さになるまでしっかり混ぜる。硬い場合は残しておいた煮汁(70〜180ml程度)を入れて調整する。

5. 大豆を丸めて容器に投げ入れる

 ソフトボールくらいの大きさに丸めて味噌玉を作り、空気が入らないように保存容器に入れる。投げ入れて、こぶしで平らにならすといい。

6. 表面にラップをして平らにする

 空気に触れないようにラップをかけて上部を平らにならす。中蓋(あれば)をして重石を載せる。カビにくくなる。まわりに付いた味噌もカビの原因になるのできれいに拭き取る。

7. ほこりよけをして冷暗所に保存する

 保存容器にほこりが入らないように蓋やカバーをし、直射日光を避けて冷暗所で保管する。仕込み日をメモしておくと分かりやすい。

●お手軽派向け
手軽に作りたい人は、つぶした煮大豆と麹を混ぜるだけのキットもある。小泉麹屋の「あなたも味噌職人・米味噌」は出来上がり約1kg、1200円(税別・送料別)