寝室は皮脂と湿気がたまりやすい

 毎日、睡眠中の数時間を過ごす寝室。そこで私たちは一晩にコップ1杯分もの汗をかき、布団や枕、マットレスに皮脂やフケをまき散らしている。そうじを怠ればダニやカビがあっというまに繁殖し、寝室全体をアレルゲン空間にしかねない。川上部長いわく「真っ先にそうじしてほしい場所が寝室」だ。

 「布団や枕は週に一度は干し、マットレスは敷いたままにしないで2〜3週に一度壁などに立てかけて湿気を取り、向きを変えて敷き直して」と川上部長。

 また、アレルゲンを空気中に飛散させないよう、寝具は決してたたかないこと。掃除機などで、アレルゲンをしっかり吸い取るのがお薦めだ。

 「日当たりの悪い北側にあることが多い寝室は、湿気がこもりやすく、ベッド下やカーテンなどにカビが生えることも」(川上部長)。結露したらしっかり拭き取り、こまめに換気しよう。

寝室にダニやカビが増える原因

●毎日6〜8時間過ごす
●体から出る湿気や皮脂で寝具が汚れやすい
●北側に位置することが多い

寝具に潜むダニが多い日本の室内
寝具に潜むダニが多い日本の室内
気候の異なる日本、ベルリン、ストックホルムで、一般家庭にある寝具中のダニアレルゲン量の測定し、分布を図式化したもの。湿潤でも気温の低いストックホルムや、気温も湿度も高くないベルリンに比べ、日本の寝具中のダニアレルゲン量は多かった。(データ:日本内科学会雑誌; 93,10,76-82,2004)

寝室そうじの対策法

1. 布団と枕を日干しする(乾燥させる)

4面をまんべんなく干す。右は、睡眠中の汗が原因で、マットレスに人型に繁殖したカビの写真(カビ写真提供:川上部長)
4面をまんべんなく干す。右は、睡眠中の汗が原因で、マットレスに人型に繁殖したカビの写真(カビ写真提供:川上部長)

 布団は頭側と足側の表・裏、計4面を、枕は両面をまんべんなく日に当てて。「日干しに最適な時間帯は、紫外線が強くて殺菌効果が望める10〜15時。それ以降は湿気がつくので干さないこと」(川上部長)。日干しはできないという人は布団乾燥機でもいい。

2. マットレスや布団に掃除機をかける

通常の掃除機につける布団専用ノズルも便利。小さなチリダニは繊維の中に入り込む(ダニ写真提供:レイコップ)
通常の掃除機につける布団専用ノズルも便利。小さなチリダニは繊維の中に入り込む(ダニ写真提供:レイコップ)

 布団や枕はたたかずに取り込み、表面に掃除機をかけるようにしよう。マットレスにも同様に掃除機を。なお、体から出た湿気を1カ所にためないよう、マットレスの表、裏、頭側、足側を数週間ごとに入れ替えるといい。

3. 枕カバーやシーツをこまめに洗う

「寝具で最も汚れるのは枕とその周り。フケやアカはダニの餌になるので、冬は2〜3日に一度、夏は毎日でも枕カバーを交換してほしい」と川上部長。洗濯しやすいよう、枕にフェイスタオルを巻くのもいい。シーツは週1回のペースで洗濯を。

布製ソファ・カーペットの対策法

 布製のソファやカーペットもダニやカビが好む環境。特にダニは小さなすき間に入り込んだ食べかすや表面についた皮脂が大好物だ。

◆掃除機+エタノールで対策

 隅々まで掃除機をかけて食べかすや皮脂ゴミを除去したら、布にエタノールをスプレーして表面を拭くといい。カビ予防・消臭効果もある。

 カーペット表面の細かいゴミを取るのに便利なコロコロクリーナー。だが「粘着剤が布地に残って、新たなゴミが付着しやすくなることも」と高橋さん。粘着力が強いタイプは避けたほうがベター。

 次回は、玄関のダニ・カビの対策法をご紹介します。

福冨友馬
国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 診断・治療薬開発研究室 室長
福冨友馬 広島大学医学部医学科卒業。2006年より相模原病院呼吸器アレルギー科。2012年より現職。2009年、せっけんに含まれる小麦アレルギー症例を初めて学会で報告した。
亀井克彦
千葉大学 真菌医学研究センター 臨床感染症分野(医学部附属病院感染症内科 真菌症専門外来)教授
亀井克彦 千葉大学医学部卒業。都立多摩総合医療センター、米・スタンフォード大学感染症内科客員研究員、東芝病院呼吸器内科などを経て2009年より現職。附属病院で日本初の真菌症専門外来を担当する。
川上裕司
エフシージー総合研究所 暮らしの科学部 IPM研究室 取締役・部長  博士(農学)
川上裕司 農学博士。専門は環境生物学と昆虫病理学。真菌、ダニ、昆虫などの生活環境に関わる有害生物とアレルギーについて研究活動を行う。科学番組の制作協力や東京家政大学大学院非常勤講師も務める。
高橋ゆき
家事研究家 家事大学学長
高橋ゆき 家事代行サービス・ハウスクリーニングサービス「ベアーズ」取締役副社長。家事のスペシャリストとして多方面で活躍。著書『楽ラク掃除の基本』(学研パブリッシング)ほか多数。

取材・文/茅島奈緒深、堀田恵美 イラスト/もり谷ゆみ

日経ヘルス2016年1月号掲載記事を再構成

この記事は雑誌記事掲載時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります