アレルギーの原因、2種類のダニ

 ダニは虫ではなくクモやサソリの仲間。日本で多いのは下の2種で、ちりのように小さい。全長0.2〜0.4mm。アカやフケ、食べ物のカスなどを餌に、室内のほこりや寝具、ソファ、ぬいぐるみの中に生息する。夏から秋にかけて増殖し、寿命は約70日。死骸やフンが蓄積する秋にアレルギー症状が悪化しやすいが、気密性の高い住宅では年間を通して繁殖する。

チリダニの一種。いずれも全長0.2~0.4mm。左下はヤケヒョウヒダニ、左上はナヒョウヒダニで、やや乾燥した場所を好む(ダニ写真提供:エフシージー総合研究所・川上裕司部長)。グラフは、東京都多摩地区の一般家庭8軒の室内中ダニアレルゲンを測定したもの。(データ:Ann Allergy Asthma Immunol.;76,2,170-174,1996を改変)
チリダニの一種。いずれも全長0.2~0.4mm。左下はヤケヒョウヒダニ、左上はナヒョウヒダニで、やや乾燥した場所を好む(ダニ写真提供:エフシージー総合研究所・川上裕司部長)。グラフは、東京都多摩地区の一般家庭8軒の室内中ダニアレルゲンを測定したもの。(データ:Ann Allergy Asthma Immunol.;76,2,170-174,1996を改変)

 アレルギーの原因「アレルゲン」となるのは、ダニの死骸やフン。その中に含まれる消化酵素などが、鼻やのどの粘膜組織を壊して体内に侵入するため、過剰な反応が起きると考えられている。

カビは、アレルギーや感染症の原因に

アスペルギルス・フミガタス(左)、屋外や屋内に浮遊しているコウジカビの一種。アレルギーのほか、肺や気管支の炎症の原因に。アスペルギルス・レストリクタス(中)、乾燥に強く、屋内のほこりや書籍などにつくコウジカビの一種。アレルギーの原因になる(カビ写真提供:川上部長)。カビと同じ真菌のキノコが気管内にすみ着く症例も(右)(キノコ写真提供:亀井教授)
アスペルギルス・フミガタス(左)、屋外や屋内に浮遊しているコウジカビの一種。アレルギーのほか、肺や気管支の炎症の原因に。アスペルギルス・レストリクタス(中)、乾燥に強く、屋内のほこりや書籍などにつくコウジカビの一種。アレルギーの原因になる(カビ写真提供:川上部長)。カビと同じ真菌のキノコが気管内にすみ着く症例も(右)(キノコ写真提供:亀井教授)

 カビは湿気の多いところで繁殖するイメージがあるが、風通しが悪く、ほこりがたまりやすいところで増えるものもある。コウジカビは乾燥や熱に強く、ほこりの中や革製品の上でも増える。ほこりと一緒に舞い上がり、鼻や口から吸い込まれる。

 アレルギーや深在性真菌症を引き起こすのは、コウジカビ(アスペルギルス)の一種。気管支などにすみ着いて炎症を起こすのはフミガタス。レストリクタスはアレルゲンになる。

 長年にわたり、室内のダニ・カビについて調査を行ってきたダニ・カビ博士こと、エフシージー総合研究所の川上裕司部長に、ダニ・カビが繁殖しやすく、重点的にそうじすべきポイントを聞いた。次ページから、おそうじ法と併せて紹介する。