令和を迎え、昭和的な家族観や結婚観が大きく揺らいでいます。「血縁こそ、家族」「妻、夫はこうあるべき」といった古い考えから解き放たれた多様な家族、そして結婚のカタチが生まれています。「離婚約」で夫婦の関係性を見直す人、人生後半の再婚で新たな絆を紡ぐ人、血縁にとらわれない家族をつくる人、夫婦の役割を柔軟に入れ替える人…変わりゆく家族、結婚のカタチに迫ります。

 結婚したのは、夫58歳・妻43歳のとき。「15歳の年の差再婚」からはや12年、2人で事業を営み公私ともにパートナーとして充実した日々を送る大江英樹さん・加代さん夫妻。英樹さんは経済コラムニストとして多数の著書を持ち、加代さんは確定拠出年金のスペシャリストとして活躍しています。これまでにお金をテーマにした夫婦対談はあれど、年の差婚について語るのは、実は初めて。「夫婦で年金事務所へ相談に行こう」と提案する2人に、人生後半の結婚生活を幸せに送る秘訣をたっぷりと語ってもらいました。

編集部(以下、略) 当時、英樹さんは58歳、加代さんは43歳。結婚する決め手は何でしたか?

大江加代さん(以下、加代) 夫とは同じ証券会社に勤務し、失敗したら会社にかなりのダメージを与えるような一大プロジェクトを一緒に担当していました。ハードな仕事でいろいろな場面を一緒に乗り越えた経験があったので、未知の世界だとしても2人ならやっていけるよね、と思えたのが決め手です。

大江英樹さん(以下、英樹) 私の感覚からすると妻は戦友。そのプロジェクトでは、社外だけではなく、社内にも地雷が埋まっているような中を駆け回って生き延びてきたので(笑)。同じ目的に向かって戦ってきた絆は大きいという気がします。

撮影でも自然に寄り添う2人。結婚して12年たってもまだまだおアツい! 英樹さんには『知らないと損する年金の真実』 (ワニブックスPLUS新書)、加代さんには『「サラリーマン女子」、定年後に備える。』(日経BP)などの著書がある
撮影でも自然に寄り添う2人。結婚して12年たってもまだまだおアツい! 英樹さんには『知らないと損する年金の真実』 (ワニブックスPLUS新書)、加代さんには『「サラリーマン女子」、定年後に備える。』(日経BP)などの著書がある

前のパートナーには言えなかった仕事の愚痴

―― 実際に結婚してよかったことは何ですか?

加代 物事を複眼的に見るきっかけをもらえています。以前のパートナーには、愚痴や迷っていることをあまり言えなかったんです。どう受け止められるかなとか、私が悩みを言ったら向こうにとって重いだろうなと思っているうちに、ますます言えなくなってマグマのようにたまってしまう……みたいな悪循環でした。今はとりあえず夫に吐き出してしまえる。自分が頭を整理することに付き合わせているだけかもしれないけれど(笑)、それはありがたいですね。

英樹 僕は、実は人見知り。1人でいることが好きなんです。

―― ええ、本当ですか? めちゃくちゃ意外です。

英樹 よくそう言われるんですけど、けっこう人見知りなんですよ。証券会社時代は営業をしていたので、みんなでワーッと盛り上がろうぜ、と頑張ってやっていましたが、実は家でネットフリックスを見たり、地味に資料を作ったりしているのが好き。再婚前の暮らしでは、自分を抑えて周りに合わせている部分があったのですが、今の生活では全く無理しなくていい。妻は性格がすごく明るいのでラクなんです。妻が太陽のような存在で、僕はぽかぽかひなたぼっこしている感じ。