サンリオエンターテイメント代表取締役の小巻亜矢さんは「対話の力」で組織を活性化し、サンリオピューロランドをV字回復に。篠田真貴子さんは、オンライン1on1サービス「YeLL」を運営するエールのリーダーとして活躍中。まさに、「聴く」のエキスパートといえる2人が、「なぜ聴くことが大切なのか?」「聴く力をどう身に付けたか?」などを全5回で語り尽くします。第1回は、どのようなきっかけで2人が「聴く力の大切さ」に気づいたのか聞きました。
「人は聴いているようで、聴いていない」(小巻)
編集部(以下、略) ARIAで大人気の小巻さんと篠田さんの豪華対談が実現できて、とてもうれしいです。この連載では「聴く力」で組織をエンパワーしてきたお二人に、「聴く極意」についてたっぷりと聞いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
小巻亜矢さん(以下、小巻) ご期待に添えるかしら? 私自身、普段から相手の話をしっかりと聴けているかというと、実は自信がなくて……。このような対談に声をかけていただいて「すごく聴き上手な人」のように見えるかもしれませんが、決してそうとは言えず、よほど意識しないと相手の話を聴けていないのでは、と思うんです。
篠田真貴子さん(以下、篠田) 小巻さん、よく分かります。私も自分のことを「聴き上手」だなんてとても言えないですし、逆に「自分は聴き上手です!」と自信満々で言う人ほど、申し訳ないけど若干怪しいなと思っちゃう(笑)。
人って、聴いているようで、実はあまり聴いていないということがよくあると思うんです。例えば、友達や同僚が「こういうことで悩んでいて……」と打ち明けた時に、「大丈夫、大丈夫! 私もそういうことあるから!」と、すぐ自分の話にすり替えちゃうとか。
相手がどんなことに悩み、その奥でどんな思いを抱えているのか、最後まで相手の言葉を遮らずに耳を傾けてこそ、本当の意味で「聴いている」ということ。すぐに自分の話に持って行ってしまうのは、聴けていないということなんですよね。
小巻 おっしゃる通りだと思います。相手は決して悪気はないんだけど、いつの間にか違う話になっていることってよくありますものね。そういう時って、話し終わった後に「なんだか自分の気持ちを聴いてもらえなかったなぁ」というモヤモヤ感が残る。私もついついやってしまっているかもしれません。
今日こうして篠田さんとお話する機会に恵まれたわけですが、「篠田さんのお話をぜひ聴きたい!」と、自分の中で「聴きたい気持ち」が確認できた時にスイッチが入って、「それで? それで?」とアクティブリスニングに入っていけると思うんです。そういう意味では、「相手のことをもっと知りたい」「聴きたい」という意欲を持って臨む、“マインドセット”が重要になってくると思います。