1982年から12年間続いた雑誌「りぼん」のロングヒット連載『ときめきトゥナイト』。シリーズ累計発行部数は3000万部超。連載40周年を迎える2022年3月、新シリーズ『ときめきトゥナイト それから』のコミック第1巻が発売されました。19歳のデビュー時から60代となった今も、岩手県花巻市内の自宅を拠点に制作活動を行っている池野恋さん。今回は人気キャラクター・真壁俊の裏話や池野さんのデビュー後の“黒歴史”に迫ります。
(1)ときめきトゥナイトが復活 池野恋が描くアラフォー蘭世
(2)池野恋 真壁俊へのこだわりで、初めて自分の意思貫いた ←今回はココ
(3)池野恋 63歳の漫画家は岩手で5時起き、4世代で同居
編集部(以下、略) 初代ヒロインの江藤蘭世が一途に思い続けた真壁俊。ぶっきらぼうな性格でありながら、いざというときには身をていして蘭世を守る姿に当時、理想の恋人像を重ねた人も多かったように思います。
池野恋さん(以下、池野) 読者の皆さんから寄せられるメッセージの中には、「真壁くんが初恋でした」「運命の相手に出会えると思ったのに私の前には現れなかった」「真壁俊のせいで結婚できなかった」という声もあり、真壁俊というキャラクターの影響力の強さに驚かされます。物語の世界を超えて生き続けていることにありがたさを感じる半面、「すみません」という気持ちもありますね。
真壁俊の優しさは分かりやすくないので、現実の世界に存在していたら万人受けしないタイプだと思うんです。口数の少ない彼を少女漫画のヒーローとして描くのは難しく、気を使いました。口を大きく開けて笑わず、キラキラ感のある表情はしない。照れやプライドなどからくる「○○じゃねーんだよ」といったせりふも、真壁俊らしい言い回しがあります。
―― 真壁俊のキャラクターはどのようにつくっていったのでしょう?