女性のライフステージを考えるとき、「子育て」や「母であること」が大きなイベントとして語られる一方で、子どものいない人生についてスポットが当たることはほとんどありませんでした。この連載では、これまで表には見えてこなかった女性たちの気持ちに寄り添う活動をしている、大人ライフプロデューサーのくどうみやこさんにお話を聞いていきます。今回は、子どもがいない人が抱えるさまざまな「心の痛み」をひもときます。

「40歳で生みました」という報道の功罪

 子どもがいないとひとくちに言っても、その理由はさまざまです。マダネ プロジェクト(子どもがいない女性の生き方を応援するグループ)の集まりに参加する人は、欲しかったけれど諦めた人だけではなく、最初から子どもを欲しいと思わなかった、あまり好きではなかったという人もいます。私たちはどんな理由でもウェルカムですし、「自分とはまた違う思いを抱えている人もいるんだ」という気付きも得られます。いろんな事情を認めないと、多様性も広がりません。

 最近は、不妊治療によって子どもを授かった人の話はよく聞くようになりましたが、実際は治療しても授からなかった人が多いのが現状です。でも、心の痛みがあったりするので、本人が発信することはなかなか難しい。そうした中、メディアで「40歳で生みました」という話題が出ると、「じゃあ、自分も頑張れるのかな」と期待してしまうところがあります。

「諦め方」の支援が絶対的に足りていない

 あるいは、本人は諦めたのに周りが「まだ大丈夫よ」「あそこの病院に行ったらどう?」というような親切心を働かせてしまうこともあります。「諦めたのに周りからまだ頑張れといわれてしまう」と、会の参加者もよく言っています。「いくつになったら解放されるのかな。50歳になったら?」「早く50歳になりたい!」と。生殖補助医療の技術が向上したことで、ある側面では女性の苦しみも延びてしまったのかもしれません。

 それに、「諦め方」の支援も絶対的に足りていないと感じています。

「本人は諦めたのに周りが『まだ大丈夫よ』『あそこの病院に行ったらどう?』というような親切心を働かせてしまうこともあります」
「本人は諦めたのに周りが『まだ大丈夫よ』『あそこの病院に行ったらどう?』というような親切心を働かせてしまうこともあります」