女性リーダーには、仕事における振る舞いに共通の傾向があり、それがキャリアの行く手を阻んでいる――。そう提唱するのは、女性のリーダーシップ開発の第一人者、パーソナルコーチのサリー・ヘルゲセンさんです。この連載では、リーダー層の女性がキャリアをさらに前に進めるために認識しておくべき「癖」について、サリーさんが解説。今回のテーマは「人間関係を築くだけで活用しない」「協力者を得ることを後回しにする」です。

 自分が関わっている仕事をうまく進めるために、人に協力をお願いすることが苦手――。皆さんは、こうした傾向に心当たりはないでしょうか。

人に頼みごとをするのが申し訳なく思える

 女性は人間関係を構築する優れたスキルを持っています。しかし、それを活用するのは得意ではありません。ドイツのある研究でも、女性は自分のネットワークをあまり効果的に使わないという結果が出ています。例えば、「こういうポジションに就きたい」といった具体的なゴールがあって、そのために「助けていただけませんか?」と協力を仰ぐような、戦略的なお願いをすること。あるいはもっと小さな、「この本を300冊売るのを手伝ってくれないかしら?」といった戦術的な依頼も苦手です。

 なぜ人に何かを依頼することをためらってしまうのか。それは、依頼された人が自分に「使われた」と感じてしまい、それが申し訳なく思えるからなんですね。人間関係を活用するのは利己的なこと、自分は人を利用するような人間に思われたくない、と。

 しかし、そのように考える必要は全くありません。それはなぜでしょうか。

「人間関係を活用するのは、利己的なことではありません」
「人間関係を活用するのは、利己的なことではありません」